第60弾「鼠の姿を求めて」


 神社に姿を現す鼠を撮りたいと色々試みたもののその姿を捉えるには至らず、一旦神社の裏に場所を移してネズミを迎える箱を設置することにしました。 箱にはネズミが入れるように約24ミリの穴を底に開けて新聞紙を敷き、その文字が読めるのを目安にセンサーカメラ前のレンズの距離を調整し、ヒマワリの種などを置いたところ、比較的すぐにネズミの姿を捉えることが出来ました。

 最初の頃はヒマワリの種をお持ち帰りしていたようですがそのうちにその場で食べていくようになったようです。温度変化とネズミの活動が関係しているのではないかと思い、温湿度計を置いてみたりもしました。温度がわかるようになったのは良かったものの梅雨を経て湿度が90%を超えるようになり結露するようになりました。(温湿度計の上に散らばる足はカマドウマのものと思われ、この後に足も食されたようです)

 電池を使用していた温湿度計は機能しなくなり湿度も高い状態が続きました。
その対策も兼ねて箱に通気穴を開け新聞紙を撤去し箱の奥の部分に大きめの穴を開けて落ち葉を敷き詰めました。この奥のスペースはネズミが寝床として使ってくれないかなという自分の勝手な思いからのものです。

 新聞紙を撤去すると箱の樹脂に赤外線が反射することもあり全体的にも暗く、ネズミの姿が確認しにくい状態になってしまいました。温湿度計にも赤外線が反射していましたがいずれにしても見えにくい。いろいろ考えた末にホームセンターで園芸用品の鹿沼土を購入し箱の中に敷き詰めてみることにしたのでした。

 土が白っぽいので赤外線の反射が白飛びという形で現れましたが概ね思い通りの画を撮ることに成功です。次は続けているとヒマワリの種を食べたのか食べていないのか殻が増えてくるとわかりにくくなっていったので葉っぱの上に置いてみたり色々試してみました。

 結局ヒマワリの種を容器に入れるようにし、その容器もネズミ達の体長等の目安にすることにしました。

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 そんなことを続けているうちに箱にやってくるネズミを直に見たいと思うようになり、箱の入口にセンサーを設置して何度か張り込みをしたことがあります。そんな頃、箱の奥に開けた穴に堆積した落ち葉の下の腐葉土層に自然と穴が出来ていることに気付きました。

 また、ネズミが2頭同時に写っていることがありました。アカネズミはオスが子供を連れて歩くこともある、なんて話を何かの本で読んだ気がするのですが親子か、兄弟かわからないものの・・・また連れ添って来てもらいたいなぁと心から願っています。

 神社の祭りが近づいてきたころ、いつも神社のことでお世話になっているお宅に寄ったときにふと見ると前に自分が持ってきた御酒が置いてありました。熨斗紙は無記入で持っていったはずですが・・・。どうやら私は「野ネズミ研究会」の会員らしい・・・。人はどう思うかわかりませんが少し嬉しく思いました。

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  雨が強く降った後などは奥の穴が埋まってしまったこともありました。せっかく出来た穴が塞がって、残念に思っていましたがしばらくすると復活していました。

 箱を設置したあとも箱の中の全体を見たいと常々思っていて色々考えていました。全体を写すにはもっとカメラの位置を箱の底から離さなければならず、それが問題でもありましたが・・・。何とか思い立ち実行しました。当初設置した箱よりやや大きい箱を蓋を合わせる形で上に乗せ、蓋の部分をくりぬきセンサーカメラを設置することで箱の中のほぼ全体を写すことが出来、また上に乗せた箱、センサーカメラを分割して取り外すことが出来るようにしました。約3年にわたって設置し続けた箱の中はそのままに上部のカメラ部分と箱のみの変更でした。また上の箱の部分だけをまた新たな仕様に変更することも出来ます。

 設置し、初めて撮影結果を確認したときは驚きました。今までセンサーカメラが反応し、撮影はするものの姿は写っていない画像ばかりだったものが、ネズミ達がどこから入り何をして帰っていったのかがほとんどわかるようになったのです。センサーカメラの仕様も画像か動画のどちらかだけしか撮れないものから画像と動画を続けてどちらも記録出来るものに変更したことも効果がありました。
ヒマワリの種をセットして一番目にやってくるネズミが数粒しか置いていないヒマワリの種を全部食べてしまうのですが、二番目以降にやってくるネズミは執拗にヒマワリの種を探すことがあり、まるで「何で無いんだ!!」と叫びながら探しているようで・・・そんな姿を見ていると何だか期待を持たせてしまって申し訳ない気持ちになってしまいます。
 ヒミズやジネズミはヒマワリの種には関心が無いので、ほぼ自然な姿ではないかと思っています。ヒミズやジネズミが穴から顔を出して箱には入らずにすぐ穴に戻っていくことが多いことも何となくわかってきました。何故かはまだわかりません。まだ箱の全体が見えるようになってから短い期間しか経っていませんが素人目で見てもアカネズミ、ヒメネズミ、ヒミズ、ジネズミが同じ穴からやってくることがわかります。年間を通して見ていけばきっと何か傾向がわかるのではないかと期待しています。

 またここは森林性のヒメネズミなどが多く見られますが他の場所ではどんなネズミが撮れるのだろうかと思っていて、この箱でヤマネやハタネズミ、それにカヤネズミなども撮れたら面白いだろうなぁと思っています。おそらくハタネズミとスミスネズミは判別できないでしょうが・・・ヤマネやカヤネズミは特徴的なのできっと現状でも判別可能と思われます。
 何とはうまく言えませんがいろんなことがわかれば良いと思っていて、それが自然環境保全や人の営み、ひいては鼠害対策等にも有用なことであると考えています。

岡本 毅(おかもと・たけし/石川県在住)